人工衛星保険について
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宇宙保険のパイオニア、ニッセイ同和損害保険が取り組んでいる人工衛星保険についてご紹介します。
宇宙リスクの特異性
人工衛星保険のリスクには他の保険にはない次のような特徴があります。
1. まず宇宙環境そのものです。重力が少なく、高真空であり、また放射線の影響も大きく、地上とは全く異なった環境であるということです。
2. 次が故障に対する対処の差です。地上では簡単に修理ができるような故障でも宇宙空間にある為に修理が不可能になることです。
3. 更に一回の事故が巨額の損害につながります。宇宙開発には莫大な開発資金が必要とされ、現在実用化されている衛星でも万一故障が生じた場合、その損害額は非常に大きなものとなります。
4. 最後に事故原因の調査の方法が人工衛星のテレメトリデータの分析等限られた方法でしか出来ないので、原因は推定することとなり、最後まで特定出来ないこともあります。
人工衛星保険の種類 図
地球上にある様々な資産と同様、人工衛星もまたその製造段階から軌道上での実用段階にいたるまで、多様なリスクを抱えています。そのリスクをカバーするのがいわゆる「人工衛星保険」です。
人工衛星保険は通常、付保の対象、担保危険、免責及び料率等、そのひとつひとつを保険契約者(被保険者)と保険会社との間で交渉していくいわばオーダーメイドの保険です。大別すると次の4つの種類に分けることができます。
打上げ前保険
この保険はその名のとおり人工衛星及びロケットが地上にある間、すなわち工場から射場(打上げ基地)への輸送中のリスク及び射場における組立作業中、保管中及び点検中等のリスクを担保する保険です。保険責任の期間は一般的に製造者から引取りをした時点から開始し、終了は衛星を打上げるロケットが点火もしくはリフト・オフ(地上を離れる瞬 間)をした時となります。
打上げ保険
人工衛星保険の中では最も関心をよぶ保険で、ロケットによる打上げ時のリスクを担保する保険です。保険責任期間は前述の打上げ前保険の終了時点に開始され、通常は人工衛星がロケットと分離、所定の軌道に投入された後、初期機能検査(衛星が正しく機能しているかどうかを確認する検査)が終了するまでの間を担保します。
この打上げ保険の引受けに際しては、衛星及び衛星を打上げるロケットに対する技術的な 調査が必要となりますので、世界の人工衛星保険のマーケットに対して、テクニカル・プレゼンテーション(技術説明会)を行っています。
寿命保険
衛星が軌道上における初期機能検査を終了し、実用段階に入ってからのリスクを担保する保険で、衛星の所有者または運用者が保険契約者となり、通常1年間の契約で更新されます。人工衛星の運用寿命は衛星の大型化に伴い長くなってきましたが、一般には打上げから10年〜15年程度です。
この寿命は通常搭載している燃料が尽きることで終了しますが、厳しい宇宙環境に長期間さらされることにより人工衛星内部にもいろいろな故障が発生します。宇宙では小さい故障でも大きな損害の引き金になる可能性があります。したがってこの寿命保険の引受に当たっては、それらの確認が重要となります。
賠償責任保険
打上げ時または軌道上で第三者に損害を与えたことにより負担する法律上の賠償責任を担保する保険です。ロケットの燃料の点火時や発射直後のロケットの爆発等による第三者の人命及び財産に与えた損害の賠償責任等が、てん補の対象となります。
人工衛星保険(特に打上げ保険)のマーケット
人工衛星保険の保険金額は非常に高額となります。最近では人工衛星1機あたりの金額が2億ドルを超えるケースもあります。デュアルローンチ(衛星2機を同時に打上げること)の場合、一打上げのリスクが合計で4億ドルを超えることもあります。

また、現在保険を付保する商業衛星の打上げは、年間20〜30機程度なので契約件数にも限りがあり、万一全損の様な多額の支払いが生じた場合、保険会社1社でその支払いを負担することは大変大きなリスク負担となります。そこでリスクの負担は世界の人工衛星保険マーケットで分散して引受けられます。

1965年に世界で初めて人工衛星保険が付保されて以来、人工衛星保険マーケットは徐々にマーケットキャパシティー(保険の引受能力)を増加させてきました。一時期、1980年代中頃に打上げの失敗が続き(スペースシャトル「チャレンンジャー」の事故もちょうどこの頃です。)、マーケットは危機的な状況に陥りましたが、その後は商業衛星の打上も増え、順調にキャパシティーが増加いたしました。ところが1999年、2000年と打ち上げの失敗、軌道上の事故が連続した結果、現在マーケットは再び縮小傾向にあります。

また、マーケットの特徴としては、限られた10社程度の専門的なアンダーライター(保険の引受者)によってキャパシティーの約75%が占められ、その専門的なアンダーライターにより、保険の引受条件や料率がリードされていることが挙げられます。前述のとおり、人工衛星保険(特に打上げ保険)は、その付保件数が少なく、一回の事故に因る支払い金額が大きいことから、事故の有無(損害の有無)がその後の保険料率に大きく影響を与えます。打上保険の料率レベルは、打上ロケット及び衛星の信頼性、ミッション機器の複雑さ、担保内容、保険金額等により異なります。
人工衛星保険の役割
火災保険や自動車保険といった一般的な保険から考えれば、人工衛星保険(特に打上げ保険)の保険料は高額といえます。現在は人工衛星の打上 げに伴う巨大でかつ不確実なリスクの引受をなんとか乗り越えてきた保険会社により、人工衛星保険マーケットが構成されているといえます。今後、宇宙空間の利用は、通信、放送、リモートセンシング及び人工衛星を利用した移動体通信など、ますます拡大していくことが見込まれ、それらのリスクを安定したより低廉な保険料でカバー出来るように、人工衛星保険もさらにキャパシィーを増やしていく必要があります。それには、マーケットのさらなる拡大が急務です。

このページは「人工衛星保険」の概要を示したものです。詳しくは弊社にお問い合わせください。